2016.12.18 | 確認・加害強迫
ゴミの中に大事なものが入っているかが不安で確認するタイプの強迫性障害の治し方
こんにちは。鈴木です。
強迫性障害の症状で
「ゴミの中に大事なものが入っているような気がして何度も確認してしまう」
というものがあります。
ゴミを捨てるのに何時間もかかったり、捨てられなくなって家族に捨ててもらったりするなど生活に支障をきたします。
この記事ではこのような症状への対処について説明していきます。
やればかなりの人が良くなるので実践してみてください。
別のタイプでゴミについて「何かに使うかもしれない」「2度とみられなくなるから捨てることが不安」でゴミ屋敷になっているタイプはこちらに対処法を書いていますので参考にしてください。
ゴミを捨てるのが不安になる悪循環を把握しよう
なぜこのような症状が起こっているかを解説します。
ゴミを捨てる時に
「何か大事なものがはいっていたのでは」と不安になります。
不安なので中身を確認しますが、何も入っていません。
またゴミに捨てますが「やっぱり何かはいっていたかも」「見落としていたかも」と不安になり、また確認します。
これを何度も繰り返すのです。
記憶に自信がないので記憶障害と勘違いしてしまうこともあります。
もちろん、そのようなことはありません。
不安は避ければ避けるほど強くなる性質があります。
不安を避け、安心するために確認することが症状を悪化させるのです。
間違っても原因探しをしてはいけません。
役に立たないし、悪化も。
過去の親子関係とか、自信のなさとか、まーったく関係ないです。
原因探しをしなくても良くなることは実証されています。
どうすればよくなるか?に焦点をあてていきましょう。
どうしても原因を考えたい!って人は、強迫がよくなってからゆっくり考えてください。
悪循環の断ち切り方
克服するためには、この悪循環を断ち切ることが必要です。
科学的根拠のある治療方法は2つです。
一つは薬物療法。一つは行動療法。
効果が一番高いのは行動療法です。
ここでは行動療法のやり方について説明します。
基本的なこととして「強迫観念」と「強迫行為」をおさえておきましょう。
「強迫観念」は頭に浮かんでくる振り払おうとしても振り払えない考えです。
ここでは「大事なものを捨てたのではないか」となります。
「強迫行為」とは強迫観念が浮かんできたときに不安から逃げようとしてやる行為です。
やればやるほど症状が悪化します。
ここでは確認したり「大事なものは入っていないから大丈夫」と頭で安心したりすること。
「記憶をたどる」、家族に確認する、もそうです。
悪循環を断ち切る方法として「曝露反応妨害」という方法を使います。
曝露=不安なことにさらす
反応妨害=強迫行為をしない
ものすごく単純なことを言えば、
・曝露はゴミを捨てること
・反応妨害は確認したり、頭の中で「大丈夫」と考えたりしない
つまりゴミを捨てて確認しない。
「一回だけ確認して安心できるようになろう」と「一回だけ」とすると回数は減らせても最後までよくなりません。
結局、強迫行為をして安心しているからです。
一回やると止まらなくなるのが強迫ですし。
それと「大丈夫、自信をもとう」とか、やっちゃだめですよ。
安心しようとしているうちは大丈夫と思えることも自信をもつこともできません。
心持ちは「強迫観念がいっていることを肯定してそのままにする」こと。
「大事なものが入っているのでは?」と考えているなら「大事なものがはいっている」と考えて、ゴミを捨てます。
最悪のことを考えて慣らすことで、不安なことが思い浮かんでも流せるようになります。
よくあるのは「もし本当に大事なものが入っていたらどうするの?」という疑問。
この時「大事なものが入っていた時の対応」を考えて安心するのは、強迫行為と同じ。
大事なものがはいっているかもしれない不安に慣らしていくことが必要なんです。
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「本当に大事なものが入っていた時の対応を教えてください。そうでないと挑戦できません」とか専門家に聞いちゃだめですよ。
この質問に「大丈夫だと思いなさい」とアドバイスするような治療者のもとで治療してしまうと、多分治らないです。
残念ながら結構いるんですよ。
克服するにはコツがある
一個ゴミを捨てて我慢!ってのは結構大変です。
捨てたゴミが気になって気になって仕方がない。
我慢できずに確認、となりやすいです。
うまくいかない人が多いのでは?
そんな人におススメしたいやり方があります。
連続してたくさんやること。
あれもこれもどんどん「大事なものがはいっている」と考えてすてまくる。
「一個だけ挑戦するよりハードル高いじゃないか!」と思うかもしれません。
しかし、何個も連続してやると全部確認するのは大変になりあきらめがつきやすいので強迫行為も防げます。
単に「強迫行為を我慢しよう」ではうまくいきません。
これをゴミたくさんを準備して一日何度もやります。
レシートやティッシュなど自分が怖いものを集めておくとよいです。
なんとなくゴミを捨てなきゃいけない場面に当たった時にやるではダメ。
「強迫行為を我慢しよう」と消極的になり、強迫観念が強くなることを恐れ続けます。
曝露って、待っているものではなく、自分から積極的にやることが重要なんです。
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家族の対応
家族は本人の「何も大事なもの捨ててないよね」という確認に「捨ててないよ」「考えすぎだよ」と応じてはいけません。
安心させるのは強迫行為を悪化させる行為だからです。
理屈で納得させようとするのも同じ。
無視をするか、「もう捨ててしまったよ」と伝えましょう。
また捨てられないからといって、ゴミ捨てなど本人の肩代わりをするもやめていきましょう。
不安な本人に対して、そのようにするのは「ひどいことをしている」など苦悩を伴うかもしれません。
しかし、本人を安心させることは症状を長引かせるだけです。
麻薬をやめさせたいのに、麻薬をあげているようなもの。
ご家族も治療に対しての覚悟が必要です。
まとめ
「曝露」を計画的に、連続して、逃げずにやる。
これが強迫性障害を克服するコツです。
筋トレと同じですよー。
筋トレが一人では続かない!って人は、カウンセリングへどうぞ。
コースならLINEやメールでいつもでも相談できて、「やらなきゃ」って意識は続きやすいです。