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「強迫症は治らないから一生付き合う」は本当か?

 

こんにちは。鈴木です。

 

「強迫症は治らないから付き合っていくしかない」という言葉を聞いたことはありませんか?

医療機関でもそのように説明を受けたという人も聞くし、先日テレビでもそのようなことを解説している専門家の方もいました。

 

個人的にはこの言葉は誤解を生んでいるのではないかと思っています。

 

なぜなら「治療しても軽くするくらいで治らないから、強迫症に悩まされながらも折り合いつけて生活していくしかない」という絶望的な解釈をしてしまう可能性があるから。

 

これだと治療をやる気になれませんよね。

 

そこで今回は

・「強迫症は治らないから付き合うしかない」となぜ言われているのか?

・その言葉を聞いた時にどのように考えればよいのか?

・強迫症を治そうと思ったときの注意点

・強迫症と付き合っていくという意味

について説明します。

 

 

 

なぜ強迫症が治らないと説明されることが多いのか?

いろいろありますが、2つ理由の理由とどう考えればよいのか?について説明します。



①薬物療法だけだから

 

理由の一つは、治療が薬物療法のみの場合が多いということ。

 

医療機関に行けば薬物療法となることが9割以上でしょう。

薬物療法は強迫症に対し有効な手段です。

強迫観念が和らぎ、かなり改善される方もいます。

一方で、半分くらいの人にはあまり効かなない、効いたとしても症状を和らげてくれる程度ということが多いです。

薬物療法のみだと強迫行為をしながら日常生活と折り合いをつけていくことになりやすいため「強迫症は治らない」と説明される可能性があります。

 

 

しかし、それは薬物療法のみで治療した場合です。

治療は薬物療法だけではありません。

今のところ認知行動療法が最も有効な手段です。

認知行動療法をやり遂げることで大幅に症状が改善されることがあります。

 

強迫症は自然には改善しにくい病気の代表格ですが、自分次第で改善しやすい病気の代表格でもあります。

私自身の経験でも「治らないから一生つきあっていくしかない」と言われていた人が、なんの支障もない日常生活に戻れたという人をたくさん見てきました。

 

このため「薬物療法だけだと症状を緩和させるだけになりがちだけど、認知行動療法を実践することで症状をほとんど気にしないくらいまでなる可能性があるよ」と考えてよいかと思います。

 

 

 

②完治はなく寛解までだと言われているから

 

他の理由としては、強迫症は完治はないと言われていること。

一般的に強迫症に限らずメンタル系の病気は完治ではなく「寛解(かんかい)」という言葉が使われます。

 

寛解は症状が軽くなり日常生活に支障がなくなったり、一定期間症状が出なくなったりしている状態のことを言います。

 

メンタル系の病気は常に再発のリスクがあり、正常と異常の区別が曖昧なことなどがあるため完治という言葉は使いにくいのです。

 

このため「強迫症は寛解しかないから、一生治らない病気なんだ」と絶望的になる人もいます。

しかし、専門的なことはともかく、ちまたで強迫症で寛解と言われているものにはかなりの幅があるように思えます。

 

 

強迫行為や回避をしているところがありながらも前より大分マシに日常生活が送れている、というものから、ほとんど強迫行為はせず強迫観念が出てきても気にならない程度まであります。

 

前者はネットでも見かける「寛解」で、もちろん以前より快適にすごせていますが、悪化するリスクも高い状態かもしれません。

強迫症の人が自分で「寛解しました」と話している人はこの状態の人が多くて「これって寛解って言えるのか?」と疑問に思うこともあります。

しかし、後者くらいになると「完治」と言っていいくらいの状態で強迫で悩むことは少ないです。

強迫観念が浮かぶことはありますが流せているという人が多いですし、再発のリスクはゼロではありませんが悪くなっても自分で調整しやすいです。

 

つまり完治という言葉使いにくいだけで「寛解にも結構幅があって、完治と同じような状態になる可能性はあるよ、いずれにしても常に再発のリスクはあるから改善しても引き続き気をつけてね」と考えるとよいでしょう。

寛解しても再発のリスクが常にあるという情報で「治らないのか」と絶望的になる人もいます。
ただ寛解状態になった人が「完治はないのか~」と絶望的になる人はあまりいないので、まずは寛解状態を目指しましょう。

 

 

完璧な完治を目指すと逆効果

 

ただここで注意してほしいことがあります。

完璧な完治のような状態を目指すことで逆に強迫症状が悪化してしまうことがあるのです。

 

よくあるのは強迫観念があるうちは治ったことにならないと思っていること。

強迫観念と同じ考え自体は強迫症じゃない人でも9割くらいの人が浮かぶと言われています。

つまり強迫観念が浮かぶことが問題ではなく、それに囚われることが問題なのです。

とういことは、強迫観念に囚われなくなれば問題がないのです。

それを「昔はこんなこと考えなかったのだから観念が思い浮かぶうちは治ったことにならない」と考えていると、強迫観念に振り回されているのと同じ状態です。

 

強迫行為に関してもちょっとでもしてしまったら治ったことにならないと考えていると、ずっと悩むことになります。

クセのように毎回やっているであれば問題ですが、時々やってしまう程度であれば問題ありません。

 

強迫観念が出てこない、強迫行為をすることが一生ない完璧な完治を目指さないように気をつけましょう

 

 

強迫症と付き合っていくの意味


完治のような状態を目指すのはよいのですが、少しの強迫観念も強迫行為も許せない状態というのも強迫的ともいえます。

 

強迫観念があってもとらわれない、強迫行為をしてしまってもクセにならなければOK、くらいのゆとりを持たせた方が改善はしやすいです。

強迫観念があり強迫行為をしてしまうことはあっても、持ち直せていれば必ずしも悪化とは言えません。

 

「強迫症とうまく付き合っていく」をこのような観点でとらえておくと、長期間安定しやすいでしょう。

 

ただし、まだ改善されていない人が「じゃ、ちょっとくらい強迫行為をしていいんだ」と強迫行為をしてよい理由にしないよう気をつけてください。

 

 

 

まとめ



「強迫症は治らないからうまく付き合っていくしかない」はマイナスの解釈になりがちです。

「強迫症は改善しても再発の可能性があるから十分に気をつける必要はあるけれど、強迫に制限されない快適で自由な生活することはできるようになる」と考えるとよいでしょう。

 

現実的にはどこまで強迫症を改善できるかはケースバイケーですが、少なくとも自分のやりたいことをできるくらいまでは十分なれると思います。

希望をもって治療に取り組んでください。

 

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