2018.03.25 | 強迫性障害全般
「30分だけ強迫行為を我慢」は効果的なのか?
こんにちは。鈴木です。
「30分だけ我慢しよう、というやり方はどうなんですか?」という質問を受けることがあります。
手洗いや確認など強迫行為をやめることはとても重要です。
しかし、なかなかやめるのは難しいもの。
そんな時「○○分だけ我慢」だったらやれそう、と思う人もいるでしょう。
一定の時間だけ我慢してみようという戦法です。
結論から言えば、このやり方は有効である場合と、そうでない場合があります。
今回は「○○分だけ我慢」が、効果的な場合とそうでない場合について書いていきます。
こんな時は効果的です!
「○○分だけ我慢」が最も有効なのは、「○○分だけ我慢」としながら、結果的に強迫行為をやらなかった場合です。
子どもに「宿題やりなさい」と言うと「あと30分したらね」と言われ、ズルズルと何度も先送りにしてやらずにいるのと同じ戦法。
強迫をだまし続けていくのです。
「確認しなさい!」と強迫がいっても「あと30分したらね」と言って、さらに「あと1時間したらね」「遊んでからね」などズルズルやらないようにします。
そうすることでいつの間にか衝動が弱くなり、強迫行為をやらずに済むこともあります。
忘れたころに強迫さんは「確認した?」と聞いてきますが、それも同じように繰り返します。
人って「ずっと我慢しなきゃ」って思うと、「いつまでこんな苦しいことしなきゃいけないのか」と絶望的になり、やる気がなくなってくるんですよ。
それが「とりあえず今だけ我慢」と考えることで、やる気が出てくることがあります。
「今だけ」の連続が続けば改善につながるでしょう。
「何度やっても不安はあるし、強迫観念が出てくるからつらい」といっていた人が、数ヵ月強迫行為をやらないでいたら、いつの間にかあまり気にならなくなっていた、ということもあります。
もう一つこんな時も効果的
もう一つ有効なのは「我慢しても10分くらいだろう」と思っていたのが「30分も我慢できた」となるなど、自分が予想していたよりも我慢できたなって実感があった場合です。
基本的に○○分我慢して、後で強迫行為をやってしまうのは効果は薄いですし、それだけやっていても改善はしないでしょう。
しかし、「全然我慢できないと思っていたのが、30分も我慢できた!」とか「まだ強迫行為はしてしまうけれど、我慢できる時間が伸びてきた!」と思えてやる気になっているならば、最初のステップとしては有効です。
筋トレで「10回腹筋していてもつらかったのが、50回くらいできるようになった」ってのと同じ。
ここでのコツは「時間が経てば不安が下がる」ではなく「不安への耐性をつけていく」という発想。
そうでないと「我慢しても不安がいつまでもなくならない」とずっと悩むことになります。
強迫行為をしない時間が延びていくということは耐性がついてきているのと同じ。
それで最終的には強迫行為をやらないでいることにつながれば改善していくでしょう。
こんな時は効果的ではありません
有効でないのは、我慢はするけれど、最後に強迫行為をしてしまう場合です。
想像してみてください。
のどが渇いているけれど我慢して耐え続けている。我慢した末に水を飲もうとするときの気持ちってどんな感じでしょう。
待っていました!とばかりでいっぱい水を飲もうとしますよね。
強迫行為を我慢したあとって、これまでの我慢を取り戻すかのようにもっとやりたくなります。
それで「強迫行為を我慢したらもっとひどくなる」と考え、強迫行為をやらないことに否定的になります。
ただ先述のように、我慢できる時間がのびてきていて、それを前向きにとらえられるのなら良い方向に行く可能性はあります。
似たようなことで不潔強迫の人が「トイレ掃除をしたらお風呂に入る」など、「不安なことに挑戦するけれど、その後安心することするから大丈夫」とやるのはうまくいきません。
強迫を我慢だけにならないようにしましょう
「○○分だけ我慢」が有効な場合とそうでない場合について説明しました。
このやり方は最初なかなか強迫行為をやめるきっかけがつかめず、先に進めない人にオススメ。
基本的には最後まで強迫行為をしなかった時に改善に向かうので、文字通り「○○分だけ我慢」にならないようにすることが大事。
また強迫行為を我慢するだけにならずに、積極的に不安なことをやっていくことが必要です。
これについてはこちらの記事を参考にしてください。
・強迫行為を我慢するだけではダメ!調子に左右されない方法とは?
うまくいかない時は、私とカウンセリングで一緒に改善していきましょう。
動画はこちら。