2023.08.10 | 強迫性障害全般
子どもの強迫症の特徴と改善方法
こんにちは鈴木です。
子供も強迫症にもなります。
強迫症の25%の人が14歳までに発症するといわれています。
子供の時に治療せずにいると大人になってからもずっと苦しむことにもなりかねません。
大人と違い自分から病気だと認識するのは難しいため、親が気づいて治療につなげることはとても大切です。
そこで今回は子供の強迫症について説明します。
中身はこんな感じです。
・子供の強迫症の特徴
・治療法
・学校は行った方がよいのか?
・親は仕事をやめるべきか?
・おすすめ本
子供が強迫症かな?と思った人は参考にしてください。
子供の強迫症の特徴
子供の強迫症の症状は大人と同じで、手洗い、忘れ物がないかの確認、悪いことが起こるのではないかと考えて打消しの行為をする、字を何度も書き直す、など様々あります。
男の子ではチック症状も出やすいと言われています。
家族に安心を求める「巻き込み」が多いのも特徴です。
子供が不安を訴えたら「大丈夫」など安心させていませんか?
巻きこみについてはこちらを参考にしてください。
強迫症とその家族の方必見 巻き込みへの対応
子供~青年期の頃に強迫症を発症しても大人になるまでに40%は自然に良くなるといわれています。
子供の頃に横断歩道の線を踏まないようにするとか強迫的なこだわりがあったとしても、自然に治っていった経験がある人もいますよね。
しかし、逆を言えば60%はそのまま強迫症が継続してしまうということでもあります。
そのままでいると勉強、人間関係、仕事で支障をきたしてしまうことも多いです。
しばらくしても症状が改善しない、むしろひどくなり生活に支障が出ている場合は専門家のもとに相談した方がよいかもしれません。
治療法
治療法は子供の強迫症も薬と認知行動療法が有効とされています。
認知行動療法を知らない方はこちらを参考にしてください。
薬は病院でもらうことになります。
精神科の病院では16歳未満は受けてもらえないこともあります。
その場合は小児科、児童精神科となることもあります。
病院に問い合わせをして確認してみましょう。
薬については医師の判断となりますがまずは薬以外の方法をすすめられることが多い印象です。
では病院にいけば認知行動療法がすすめられるかというとそうでもありません。
認知行動療法は強迫症に最も有効とされていますが、認知行動療法の専門家はかなり少ないので医療機関に限らずうけられることは稀でしょう。
またカウンセラーなどから「認知行動療法は子供はではうまくいかない」など否定的な意見を言われるという話をよく聞きます。
実際には子供にも有効である科学的根拠もあります。
専門家の間でも正しい情報が普及していないのが現状です。
むしろ「強迫の症状の根本的な原因は親子関係にあるから、表面的な症状ではなくそこを探りましょう」「思春期特有のものだから様子を見ましょう」といわれてしまい、なかなか適切な治療にたどりつけなかったという話もよくききます。
このため自力で認知行動療法の専門家を見つけなければいけないことも多いでしょう。
認知行動療法の専門家の見つけ方についてはこちらを参考にしてください。
学校は行った方がよいのか?
強迫症になると学校に行くのをしぶるお子さんもいます。
よく「無理に学校にいかすのはよくない。エネルギーが足りない状態だから、それまで学校は休ませ自宅でゆっくりさせよう」という意見があります。
もちろん、学校にいかせても強迫症状で苦痛が大きい場合、一度休んだ方が良いこともあるでしょう。
しかし「ゆっくり休んだらいつか強迫症状がよくなって学校にいくだろう」と考えているならそうならないことが多いかと思います。
強迫症はゆっくり休んで改善する病気はないです。
むしろ自宅で好きなように生活をしていたら強迫行為をたくさんしてしまい、もっとひどくなったりします。
無理やり学校にいかせても、学校を休んだとしても治療をしなければ改善は難しいと考えておくと良いです。
個人的には治療するにあたってベターな選択肢を柔軟にとっていけるとよいかと思います。
親は仕事を辞めた方がよいのか?
親が仕事を辞めて自宅で本人の面倒を見た方がよいか?と聞かれることがあります。
「強迫症になったのは、親の愛情不足だからだ。仕事をやめて一緒にいよう」と考えていたします。
まず強迫症は親の愛情不足が原因でなる病気ではありません。
いろんなものが絡み合っています。
愛情を注ぐのは問題ありませんが、強迫の原因と考えて仕事をやめるのは一度立ち止まった方がよいです。
もちろん仕事を辞めて一緒にいる時間が増えることで会話と楽しい時間が増え、親子関係が良い方向にいくならよいでしょう。
しかし、先述のように子供の強迫は巻き込みが多く、親が一緒にいる時間が増えることで巻き込みの時間も増えやすいです。
巻きこみが多くなると親子とも疲弊してケンカが多くなり、関係性が悪くなりやすいです。
思春期以降のお子さんだと
親「手洗いやめなさいっていってるじゃない」
強迫症の子供「全然理解がない。こうなったのはお前のせいだ、責任取れ」
と不毛な会話になっていませんか?
治療に協力するために仕事を調整して時間を作ってもらうのはよいと思いますが、一緒にいる時間を増やすために仕事をやめるという選択肢は十分に注意してください。
子供と距離をとり気分転換する時間を作った方が良い方向にいきやすいです。
子供の強迫症のおすすめ本
具体的にどのように強迫症に対応すればよいのか?
これを知るためにまず知識が必要です。
子供の強迫症に関するオススメ本を2つ紹介します。
どちらも小学生くらいが対象の本ですが、エッセンスを理解して応用すればそれ以上の子供にも大人にも使えます。
最初に言っておきますが、親が本を見ただけで実践してもほとんどうまくいかないと思います。
よくあるのは
・そもそもやり方がずれている
・とにかくチャンレンジさせようと思いすぎてそこの部分だけを参考にしてしまい、挫折する
というもの。
本で認知行動療法の進め方などを頭にいれておきながら、認知行動療法の専門家にもとでやるとよいかなと思います。
一つ目
「だいじょうぶ 自分でできるこだわり頭[強迫性障害]のほぐし方ワークブック」
ドーン ヒューブナー (著), ボニー マシューズ (イラスト), 上田 勢子 (翻訳)
明石書店
お子さんと一緒に読めるような本です。イラストも多く薄めの本ですので比較的読みやすいです。小学低学年だと読んで理解するのはちょっと難しいかもしれませんが、そこはわかりやすく説明してあげるとよいです。
2つ目
「強迫性障害(OCD)に“No”を言おう ~本人・家族向けのやさしい認知行動療法でハッピーライフを取り返す」
ジョン・S・マーチ (著), クリスティーン・M・ベントン (著), 宍倉 久里江 (翻訳)
星和書店
「本人・家族向け」と書いてありますが、子供が読むと難しいです。大人が子供ために読む本です。厚めの本ですが内容は豊富です。一つ目の本をさらに詳しくしたイメージです。
まとめ
強迫症は早く治療を始めた方が改善しやすいと言われています。
子供のうちに強迫症の改善方法を身につけておくことで、学校や人間関係など支障を少なく出来ますし、将来再発してもまた自分でもとに戻せる可能性があります。
生活に支障が出てきたら早めに治療に取り組みましょう。