2018.07.08 | 強迫性障害全般
強迫症を克服するために過去と向きあうことは必要か?
こんにちは。鈴木です。
よくある質問の一つが「強迫を治すためには自分の過去の出来事と向き合う必要があるのですか?」というもの。
多分、何かの本やカウンセリングなどで
「強迫になったのは過去の出来事が原因だから、それに向き合わなくては治らない」
みたいなことを、見たり聞いたりして、そのような疑問が出てくるのだと思います。
特に「両親との関係が・・・」と考えている人が多いようです。
今回は強迫を克服するのに過去の出来事を思い出して向き合う必要があるのか?についてご説明します。
過去に向き合う?向き合うところが違ってますよ
結論から言えば、全く必要ありません。
強迫の原因は複数の要因が絡み合っています。
仮に過去の両親との関係で影響があったとしても「過去の両親との関係が強迫の原因」ということにはなりません。
それも含めていろんな要因が絡み合っているからです。
過去をふりかえるやり方が強迫に効果があるという根拠はありません。
逆に薬や認知行動療法のように過去を扱わなくても改善することがわかっています。
このため、両親との関係など過去に向き合うなどする必要はないのです。
「強迫行為をしない、など表面的なことを治しても、過去と向き合わなければ根本的には治らない」
と言われていることもあるみたいです。
まずそんなことはありません。
過去と向きあったらといって強迫がよくなるわけでもありませんし。
改善が遅くなるだけなのでおススメはしません。
強迫を克服する上で大切なのは、過去ではなく「現在」。
不安な考えが出てきて、それを打ち消し、やめられなくなっている。
それは現在の出来事ですよね。
仮に過去にトラウマ的な出来事があったとしても、それは「過去のことで悩んでいる」のではなく「過去に起こったことに囚われて悪循環に陥っている現在の自分」に悩んでいるのです。
現在起こっている悪循環を断っていけば強迫は改善していくことが世界中で実証されています。
それなのに「過去の出来事」に取り組んでいると、現在の悪循環を断つことができません。
向き合うのは「過去」ではなく「現在」です。
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うまくいっていない時ほど過去にしばられる
ところがうまくいっていない時ほど過去を振り返りがちです。
「過去の両親との関係がー」
「昔からの性格がー」
「なんでこうなったのだろう」
とか。
強迫への不安に挑戦できない時、人によっては過去を振り返ることで強迫が改善していくかもしれない、と期待を抱いていることがあるかもしれません。
しかし、改善はしないでしょう。
過去をふりかえることが改善ではなく「不安に挑戦する以外の方法はないか?」という、現実問題からの逃げになっていませんか?
強迫に挑戦して改善している人は、過去など原因探しに取り組むことはしていないのです。
真摯に今起こっている悪循環を受け止め、地道に不安に挑戦していく人が改善しています。
どうしても過去をふりかえりたい人にオススメなこと
それでも過去を振り返りたい!という人がいるかもしれません。
そんな人に、オススメしていることが2つあります。
①良くなってから考える
過去を振り返り、原因探しをどうしてもしたいなら、強迫が改善してからをおススメします。
過去を振り返らなくても強迫は改善するので。
強迫がよくなって、過去の云々をふりかえる人はあまり見かけませんが。
②期限を決める
どうしても過去を振り返りたいなら期限を決めましょう。
●月●日まで過去をふりかえってどうにもなっていないなら、あきらめて強迫に挑戦する、とか。
おそらく過去を考えても強迫が改善しない自分に直面します。
期限になったら過去をふりかえっても改善しないことを受け止め、今改善するべきことをやっていきましょう。
まとめ
強迫を克服するためには過去ではなく、現在に向き合うことが大切です。
特に原因探しに陥っている人は気をつけてください。
今起こっている悪循環を断ち切って、強迫を改善していきましょう。
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