2016.04.24 | 不完全恐怖
手洗いが長くても不潔強迫とは限らない 強迫の対処法を考えるコツ
こんにちは。鈴木です。
手洗いが長い、入浴が長いからといって、不潔強迫とは限りません。
盲点になりやすいところ。
何かぴったりとくる数字や言葉の時に手洗いをやめなきゃ気が済まないって場合もあります。
誰かに話しかけられたり、音がしたり、雑念が起こったりするとやり直し。
100点の手洗いをしないと、とにかくダメ。
不完全恐怖かもしれません。
洗うことだけでなく、シャンプーのポンプを押す回数・音・タイミング、外に出るタイミング、心の中で数を数えるなど、あらゆるところで自分がしっくりくる状態じゃないと先に進めません。
不潔強迫のやり方で治療しようとしてもうまくいかないので、見分けることは大事です。
どのタイプの強迫にも言えますが、目に見える症状で対処法を決めてはいけません。
今回は手洗いや入浴が長い時の、不完全恐怖と不潔強迫との見分け方のコツ、治療法についてご紹介します。
対処法は症状だけでなく、どのように決めていけばよいのかも書いていますので、他の強迫タイプの人も参考にしてください。
不潔強迫と不完全恐怖の見分け方
不完全恐怖タイプはすっきり感、しっくり感を求めて強迫行為をします。
他の強迫のように不安があり、それを下げるためではないのです。
不潔強迫と不完全恐怖の簡単な見分け方があります。
「手洗いをしなかったら、または中途半端にやったらどんなことになりそうだろう」
と問いかけてください。
「ばい菌が広がる」「病気になる」ではなく、「なんとなくすっきりしない」「モヤモヤする」であれば、不完全恐怖の可能性があります。
他の症状でもすっきり感を求めているところはありませんか?
例えば医師やカウンセラーに対して正確な情報を知るために「このやり方でほんとに正しいか」を聞き続けたり、自分の症状を正確に把握してもらうために、紙に自分の症状を細かく書いたり。
こうなるとますます可能性は高いです。
医療機関で認知行動療法を受けているって人でも、不完全恐怖なのに不潔強迫と思われて、間違ってやっている人も多いです。
これは専門家側の責任ですけどね。
治療の方法
不潔強迫だと汚いものに触り、手は洗わないようにするのが治療です。
一方で不完全恐怖は完璧じゃないモヤモヤすることをワザと起こし、慣れていくことが治療となります。
だから、汚いものを触り手を洗わないでいてもまず治らないです。
よくあるのは完璧に早く手洗いをしてしまうとか、しっくりくるタイミングを早くしようとするなど。
不完全なことが怖いのに、早く完璧にしっくりくるまでやっても不安に直面できてないですよね。
治療法は前にも書きましたが、すっきり・しっくりしないようにモヤモヤすることを積極的にやっていきます。
不完全恐怖で手洗い、入浴が長い場合、自分がどんな洗い方をしたらモヤモヤするのか考えてみると良いです。
ワザと洗い残しをする、洗う順番を崩す、モヤモヤする数字で次の行動に移す、など。
自分がすごく嫌だなって感覚を引き起こすことをすればよいのです。
モヤモヤしますよね。
モヤモヤさせながら、次の行動に移してそのまま生活しましょう。
これが治療となります。
すっきりしないので苦痛で仕方ありません。
しかし練習していくうちにその苦痛があっても動けるようになります。
対処法は見た目の症状ではなく、何が嫌か?で考える
今回ご紹介した不潔強迫と不完全恐怖との比較のように、どの強迫タイプも目に見えている症状だけを見て、対処法を決めてはいけません。
強迫の治療は嫌な感覚になれていくこと。
慣れていくには何が嫌で、安心やすっきりさせるために何を探していくことが必要です。
人によって嫌なことって違いますよね。
どのタイプかを見分けて対処法を考えるというよりも「自分は何が嫌で何から逃げているのか?何のために強迫行為をやっているのか?」という観点から対処法を考えていくのがポイントです。
不完全恐怖は他のタイプとミックスすることも多いので。
嫌な感覚→積極的に引き起こす
逃げていること→積極的に直面する
強迫行為→やらない
このように考えると、治療の方向性の間違いが少なくなります。
「嫌なこと」を「逃げず」に「積極的」にやる。
強迫の治療の基本です。