2018.05.06 | 強迫性障害全般
強迫が改善されたら性格が真逆になってしまうの?って疑問に答えます
こんにちは。鈴木です。
「不潔強迫が治ったら、不潔になるのですか?」
「確認強迫が治ったら、ミスばかりするずぼらな人間になるのですか?」
「加害強迫を治したら、人を傷つけても平気な人になるのですか?」
このような質問をたまに受けます。
要するに自分がこだわっている症状を治したら、それとは逆の人間になるのか?という疑問でしょう。
「人を殺してしまうのでは?」と不安な人が「人を殺してもいい」と思うような人間になるのなら強迫を治さない方がよいのでは?と思う人もいるかもしれません。
今回は、強迫が治ったら今と逆の人間になってしまうのか?という疑問に答えていきます。
強迫が治るということは真逆の人間になることなのか?
結論から言えば「NO」です。
例えば「電車のホームに人を突き落としたのでは」と不安で確認している人がいるとします。
改善方法としては、あえてホームを歩き、頭の中では「電車に人を突き落とした」と最悪のことを考えて、不安に慣らしていきます。
詳しい方法はこちらをお読みください。
そうすることで「電車に突き落としたのでは」という不安にとらわれなくなり、結果的に考えが減っていきます。
この状態になったとしても「人を突き落としても平気な人間」になることはありません。
あくまでも「人を突き落としてしまう不安」に平気になるだけで。
不潔強迫でいえば、手洗いをせず、便器に触れるようになっても不潔な人になることはありません。
過度な不潔感が減るだけで、不潔な人間になることはないのです。
まぁ、強迫の基準で言う「不潔な人」ではあるかもしれませんが。
改善した時にはそこまできになりません。
そもそも不潔強迫の人は自分がこだわっている不潔な部分が嫌なだけで、キレイにしている人ではありません。
不潔強迫で自宅が汚い人はたくさんいます。
あと特に加害強迫系の人に多いのですが「自分が治るために人を危険にさらしてよいのだろうか」と考えて強迫への挑戦を躊躇しがちです。
「他人を危険にさらす」と考えること自体が強迫観念です。
「他人を危険にさらす」ことと「他人を危険さらす不安」とは、分けて考えましょう。
改善するための方法は他人や自分を危険にさらして不安に慣らす練習ではないのです。
100%の安心はない
ここで注意点があります。
便座に触ったらもしかして有害のウィルスがいて、それを触った人が死ぬ確率がゼロということではありません。
先ほど「他人や自分を危険にさらして不安に慣らす練習ではない」と書きましたが、100%起こらないことは誰にも保証できないのです。
「危険はゼロにしたい」というのが強迫の人の本音でしょう。
しかし、よくよく考えてください。
強迫の人であっても自分のこだわっていないところは危険をゼロにして生活しているわけではありません。
ウィルスへの危険はゼロにしたいと思っている人でも、車の運転の確認はズボラだったりします。
考えられるすべての危険を回避していたら、何も行動できなくなりますからね。
強迫を改善するには自分が危険だと思うことをやることが多いのですが、危険がゼロでないことを受けいれた上での「危険にさらす不安」に慣らす練習なのです。
頭の中で「不安なことは起こらないから大丈夫」はダメ
このように強迫が改善されても、性格が変わってしまうことはありません。
それでも万が一、強迫が治ったことで「不潔な人」「人を殺しても平気な人」など逆の人間に変わってしまっても安心してください。
強迫状態に戻すだけなら簡単にできますのでご相談下さい(笑)
しかし、ここで気を付けてもらいたいのはこの記事を読んで
「人を殺してしまわないから大丈夫」
「これは強迫観念だから怖いことは起こらない」
と頭の中で言い聞かして安心する材料にしないことです。
それは強迫行為となり改善が遅れます。
まとめ
強迫を治しても今とは逆の性格の人間になってしまうことはありません。
そういう意味では安心して不安に挑戦していってください。
っていってもなかなか挑戦できない人は私とカウンセリングで相談しながらやっていきましょう。