2017.06.04 | 強迫性障害全般
強迫と性格って関係あるの?
こんにちは。鈴木です。
強迫性障害と性格って関係あると思いますか?
「強迫になりやすい性格ってあるんですか?」とよく聞かれます。
結構この辺りのことって誤解している人が多いのですよ。
誤解するだけなら良いのですが、「性格を変えなきゃ!」とか変な方向にいっている人もいますので注意が必要です。
この記事では、強迫性障害と性格との関係と注意点について書いていきます。
本当にあなたは完璧主義ですか?
結論から言うと、強迫性障害と性格には関連はないと言われいます。
「完璧主義だから強迫になる」と性格を強迫のせいにしたくなるでしょう。
実際のところは、完璧主義でない人でもなります。
「これまではなーんにもキレイとかこだわらない、むしろおおざっぱな方だった」って人が、急に不潔強迫にもなっちゃいます。
つまり、どんな人でも強迫になる可能性があるんですよ。
うつ病も「責任感が強くてまじめな人がなりやすい」と昔からいわれてますが、実際は「昔はポジティブだった」という人もなっています。
うつ病だって、条件が整えば誰だってなる可能性があるんです。
強迫もそれと同じ。
・・・っていっても納得しない人が多いでしょう。
「だって自分は完璧主義だし、ネットでも強迫の人が完璧主だっていってるし」と考えるかもしれません。
しかし、実際のところは自分がこだわっているところに関して完璧にしようとして強迫になっているだけです。
関心のないことは完璧にはしようとしません。
「あなたはおおざっぱなところもありますが、こだわるところにはこだわりますよね」という質問をすれば、ほとんどの人がYESと答えますよね(バーナム効果っていいます)。
強迫は自分が気になる一部の完璧さにこだわっている病気なので、そこだけに注意が向いて「自分は完璧主義だ」って考えやすいんですよ。
よーく考えてください。
「自分はなんでも完璧にこなす」って言えます?
性格を原因することのデメリット
もちろん全くその人の性格が関連しないとは言い切れませんよ。
しかし、強迫はいろんなことが関連して起こるのであって「性格が原因で強迫になる」っていうことではありません。
まぁ「完璧主義・自信がない性格だから強迫になる」って書いた方がウケは良いのでほっといてもよいのですが、まずいこともあるんです。
強迫の原因は不明ですが、原因探しをしてしまうと悪化してしまうことがあるので注意が必要です。
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一番まずいパターンは「完璧主義・自信のなさの性格が原因だから、強迫を治すために性格を治そう!」として、自己啓発や心理学の本をみて時間を費やすこと。
完璧でない・自信のある考えや行動をしていくのはとってもよいことですが、本を読んだり頭の中で「完璧はやめよう」「性格を変えよう」と「考えている」だけでは良くなりません。
強迫がひどくなっているのは性格や考え方の問題ではなく、強迫行為をしているからなのです。
強迫行為をしているから、完璧な行動が強化されていっている、と考えた方がよいでしょう。
それを「強迫になったのは自分の性格が原因だ。この性格を治したら強迫は自然に治るだろう」と考えるのは
「麻薬をやめられないのは自分の意志の弱さが原因だ。この性格を治したら自然に麻薬はやめられるだろう」というのと同じです。
性格を治す云々の前に、まずは麻薬をやめていかなくてはいけませんよね。
性格のせいにするのは、回復を遅らせるだけです。
どうやったら改善するか?を考えよう
ここまで説明しても、納得せず性格など原因探しをやめられない人がいます。
多分、認知行動療法のように不安に直面して治す方法を受け入れらない状態の時でしょう。
うまくいっていない時ほど「他に良い方法はないか」「今すぐ楽になる方法はないか」となりやすいです。
改善するためには薬か認知行動療法しか方法はなく、基本的には不安に直面していかなくてはいけません。
しかし、不安に直面するためには苦痛が伴います。
不安に直面するのを受け入れられなければ、他の方法を探そうとします。
当然他の方法で治るということはないので、ずっと症状が改善しないままになってしまいます。
どうしても「性格を治したい」「原因探しをしたい」って人は、強迫を改善してから取り組むことをおススメします。
強迫がよくなったらそういうことに興味がなくなる人がほとんどですけど。
性格を強迫の原因とせず、どうやったら改善するか?を考えていきましょう。