2023.10.22 | 強迫性障害全般
【強迫症】妊娠・出産中によくある症状と対策
こんにちは。鈴木です。
妊娠・出産の時に起こりやすい強迫症状や対策を知っておくことは重要です。
妊娠や出産をきっかけに強迫症が発症したり、元々あった強迫が悪化したりすることがあります。
強迫症とは気づかずに「マタニティブルーかな。出産したら良くなるかも」「出産してホルモンバランスが落ち着いてきたらよくなるかも」と考えてそのままにしておく、とどんどん悪化してくることもあります。
そこで今回は妊娠・出産時によくある強迫症状とその対策について紹介します。
※今回は妊娠・出産にまつわる症状中心です。
元々強迫の症状がある方はその症状が悪化しやすいと考えてください。
妊娠中によくある症状
手洗い・感染系
・トキソプラズマなど「妊婦は生肉に気を付けましょう」など情報を見ると、肉のパックに触っただけで手洗い
・そのうちに「もしかして肉に触ったのではないか?」と不安になって触っていなくても手洗い
・周囲に「肉触ってないよね」と確認する
・肉は食べなくなるか、カリカリになるまで焼くかしないと食べられない
・添加物など気になり特定のものが食べられなくなる
・感染症を恐れて手洗いや消毒だけでなく、外から持ち込んだものは消毒
・HIVなどが不安で何度も検査をしたくなる
縁起強迫系
・「悪いことを考えると胎児に影響があるかも」と不安になり悪いことを考えると、良いことを考えて打ち消そうとしたり、行動をやり直そうとしたりします。
その他
・浮気はしていないのに妊娠した子供が夫ではなく別の男性の子供かもしれないと考えて確認する(例 以前関係があった男性、どこかで精子がはいってきたかも、知らない間に誰かと性行為をしていたかも)
・仕事が産休中になってから自分が仕事で重大なミスをしていて大変なことになっているかもと不安で確認をする
出産後によくある症状
不潔強迫系
・赤ちゃんを清潔に保つために過度に手洗いをしたり、赤ちゃんを拭いたり消毒する
・逆に便が不安でおむつ替えが出来なくなることも
・床が汚いと考えて、赤ちゃんが床を歩いてしまうため、一定の場所に閉じ込めてしまう
・おもちゃなど触るものを過度消毒する
・児童館など他人がいるところは不潔感があり行けない
誤飲系
・「赤ちゃんが何か飲み込んだのではないか」と考え、針や薬など誤飲したら危険なものが落ちていないかを確認したり、使用できなくなったりする
・ハチミツが赤ちゃんには禁忌のため、ハチミツがあったところを確認したり拭いたりする
加害系
・赤ちゃんを包丁で刺してしまうのではと考えて包丁が使えない
・赤ちゃんを落としてしまうのではと考えてベランダに近寄れない
・児童館などで自分や自分の子供が他の赤ちゃんに危害を加えると考えて不安で行けない
縁起強迫系
・妊娠中と同じで「悪いことを考えたら子供に悪い影響がある」と考える
その他
・浮気はしていないが生まれた子供が夫の子供ではないかもしれないと考えてDNA鑑定をする
対策
妊娠をきっかけに強迫症になった場合、出産したりある程度育児が落ち着いたりしたら自然に強迫症が改善することがないわけではありません。
しかし、強迫症で苦しみながら対処法もわからず妊娠・育児の期間を過ごすのも大変ですし、出産後もずっと強迫症状で悩み続ける人も多いです。
このため積極的に治療をしていくことを検討してみてください。
基本的には通常の強迫症と同様、改善の選択肢としては薬と認知行動療法となります。
妊娠中の薬の使用については医師との相談となります。
出産後も授乳をしたい方は迷うことでしょう。
薬を使用しながら妊娠・出産をしている人はいます。
薬のメリット・デメリットなどを医師から聞いてみましょう。
認知行動療法については妊娠中でも可能です。
認知行動療法やることで母体に精神的な負担をかけて大丈夫か?と不安になる人もいますが、強迫行為をして悩んでいる方がよほど負担をかけていると言えます。
何時間も強迫行為に費やしたり、巻き込みで家族との喧嘩が増えているなら、認知行動療法をして改善させた方が気持ち的に楽に過ごせる時間が長くなるでしょう。
切迫早産の恐れがある時は安静が必要のため曝露によってはできないこともありますが、強迫行為など症状を悪化させるようなものを防ぐ工夫を相談していくことは可能だと思います。
認知行動療法の専門家に相談してみてください。
まとめ
妊娠や出産によって今回紹介したような強迫症状が出てきたら早めに相談しましょう。
「妊娠中・出産後だから不安になっても仕方ないよね」で済ませてしまうと、どんどん悪化してしまうこともあります。
重症度が高くなる前に対処することで、出産や育児を強迫症による精神的負担を少なくすることが可能となります。