2016.05.29 | 強迫性障害全般
強迫性障害が治るってどういうこと?
こんにちは。鈴木です。
これもよくある質問なんです。
今回「強迫が治る」ってどういうことなのか?について書いていきます。
心の病気の「治る」とは
強迫性障害が治るとういのは、症状が全くない状態ではありません。
症状に振り回わされなくなっている・日常生活に支障がなくなっている状態です。
このように説明すると「強迫性障害は治らないんだ」と絶望的に思ってしまう人がいます。
よくよく考えてみてください。
「悪いことが起こったらどうしよう」
「鍵がかかっていたらどうしよう」
全く考えないことが果たしてできるのでしょうか?
不安な考えが浮かばないなんて病気じゃない人でも無理です。
私は強迫ではありませんが、毎日自宅の鍵をかけた記憶がありません。
思い出すと不安ですがそのまま流してますし、困っていません。
他人が不幸な状態になることが思い浮かぶと、振り払いたくなります。
でもそれで困っていません。
これはおかしな状態でしょうか?
強迫行為についてもそうです。
強迫行為をしなくなった人がある日、不安で強迫行為を一度してしまった。
いけないと思い、またすぐに強迫行為をやらないようにできている。
これだったらほとんど問題ありませんよね。
強迫性障害は不安な考えや感覚に過度にとらわれ悩む病気です。
ですから時々不安が出てきてもとらわれていなければ、十分良くなっているといってよいでしょう。
少しでも症状が起こったら治っていないとなると、いつまでも治らないことになります。
これは強迫性障害に限らず、他の心の病気にもいえることです。
健康と病気との境界がとってもあいまいなんですよ。
このようなこともあり、心の病気の場合良くなった状態を「完治」とはいわず、「寛解(かんかい)」といいます。
治らない病気ではなく、「完治」という言葉をつかいにくいんですよ。
寛解は思っている以上に快適
これをいうと「完治じゃない?やっぱり強迫は治らないじゃないか!」とまた絶望的になる人もいます。
聞いていると「こんな考えが浮かぶなんて絶対嫌だ。ゼロにしたい」って考えているんですよ。
この考え自体が強迫的と言えます。
考えない努力をすることでもっと考えるようになり、強迫がひどくなっていませんか?
白黒つけないってのも治療の一つです。
これまで行動療法をやって寛解状態になった人が
「嫌で嫌でしょうがない」
「不安がゼロにならないなら絶望的」って人をみたことはありません。
時々不安はあっても受け入れ、日常生活ではそれほど意識しないですごすってとっても快適です。
わずらわしいクセが時々あるってくらいでしょうか。
人によってはほとんど強迫を意識しないで過ごされている方もいます。
日常生活に支障がないといっても
「2時間手洗いをしていた人が3分くらいの手洗いになっている」
「安心させるために確認を結構やっているけれど前よりマシになって日常生活を送れている」
「回避している場面がある」
はおそらく寛解状態ではありません。
結構とらわれているますよね。
意外と寛解も厳しいですよ。
「強迫は完治しない。付き合っていくしかないんだ」ってマイナスに考えて強迫行為をやっている人は、まだ強迫に振り回されているのでしょう。
「強迫と付き合う」というのは、不安はあっても強迫行為をせずに生活に支障がない状態をうまくやっていくこと。
行動療法を受けてきちんと寛解までもっていきましょう。
寛解状態をもっと具体的に知りたいって人もいますよね。
強迫のテストが目安となるでしょう。
こちらのテストで7点以下の状態がしばらく続いているなら寛解といってよい可能性があります。
ちゃんとしたことは専門家に聞いてくださいね。
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