2026.04.11 | 強迫性障害全般 確認・加害強迫
【強迫症】「確認したのに記憶がない」は記憶力低下じゃない 記憶が曖昧な時の対処法
こんにちは。鈴木です。
「さっき鍵を確認したばかりなのに記憶がない」
「さっき手を洗ったかわからない」
強迫症の人は、ついさっきの行動が記憶に残らず、何度も手洗いや確認をしてしまうってことがあるかと思います。
よく「記憶障害ではないか?」と思う方もいますが、記憶障害ではありません。
強迫症でよくある感覚です。
そこで今回は
・なぜ確認や手洗いの記憶が残らないと感じるのか
・どのように対処すればよいのか
について説明します。
この記事を読むことで、記憶が曖昧なときに何度も確認してしまうパターンから抜け出すための考え方が身につきます。
なぜ確認しても記憶が残らないと感じるのか?
強迫症の人が確認しても記憶に残りにくいのは、記憶がないのではなく、記憶への自信が持てなくなっているからと言われています。
例えば、鍵をかけたとき。
「ちゃんと確認できていたか」「見間違えていないか」という疑いが出てきて、記憶を信用できなくなります。
記憶がないのではなく、記憶に対して「これで合っているのか」と疑いがかかっている状態です。
そしてこの疑いを解消しようとして、また確認します。
でも確認するたびに「今の確認は正しかったか」という疑いが新たに生まれるため、記憶への自信はいつまでも戻ってきません。
よく「記憶が全くないんだ」って人いますが、記憶障害であればその場で鍵を確認したかどうかの疑問自体思い浮かびにくい。
記憶が抜け落ちているので。
疑問に浮かんでいるってことはすでに体験にしている証拠で、記憶がないんじゃくて記憶を信じられなくなっている状態なんです。
なぜこのような状態になるのか、理由は大きく分けて4つあります。
①注意が不安に向いている
意外かもしれませんが、強迫症の人が確認している時、注意は確認行動ではなく頭の中の不安に向いています。
鍵を確認するとき、頭の中では「ちゃんとできているか」「見落としはないか」という考えが占領しています。
体は動いているのに、意識は別のところにある状態。
人は注意を向けたことは記憶に残りやすく、注意を向けていないことは記憶に残りにくいのです。
だから「やった」という記憶が定着しにくくなります。
②確認するほど記憶への自信が下がる
確認すれば記憶に残ると思われがちですが、確認を繰り返すほど、「やった」という記憶への自信は下がっていきます。
確認が多くなると脳は「これは知っているパターン」として自動処理しやすくなり、記憶に残らなる性質があるのです。
同じ確認を何度も繰り返すと、だんだん“流れ作業”みたいになります。
そうなると、ちゃんと見ているつもりでも、あとで思い出せなくなりやすいんです。
10回目の確認が1回目の確認より「ちゃんと確認できていない感覚」なのは、この性質が関係している可能性があります。
③少しでも記憶が曖昧だと「記憶にない」にしてしまう
強迫症の状態にあると、100%完璧に思い出せない限り、その記憶を「正しいもの」としてカウントできなくなります。
例えば、80%くらいは鍵を閉めた場面を覚えていても、残りの20%がぼんやりしていると、「少しでも不安があるなら、それは覚えていないのと同じだ」と判断してしまいます。
このように、記憶の合格ラインを非常に高く設定しているため、どれだけ思い出そうとしても「完璧な記憶」が見つからず、結果として「自分には記憶がない」と思い込んでしまいます。
④「普通の人は確信を持っている」という誤解
多くの人は、「強迫症ではない普通の人は、自分の行動をはっきり覚えていて、100%の確信を持っている」と考えがちです。
普通の人は確信があり、そうなれば確認しなくて済むのだと思って確信を持とうとしていませんか?
しかし、実際にはそうではありません。
たとえば、特に不安を感じていない人に「今朝、家の鍵を閉めたことを思い出せますか?」と聞くと、多くの人が「はっきりとは思い出せない」と答えます。
普通の人は、記憶がはっきりしているから安心しているわけではなく、曖昧な状態を受け入れているだけなのです。
強迫症の人も、自分の気になる症状でなければ、日常生活の細かい記憶についてはいちいち覚えていないものです。
加害強迫がないなら「渡ってきた信号は青だったか?赤なのに渡ってしまい、それでブレーキをかけて車が事故にあっていない」ということを完璧に思い出せるか?といわれれば、そんなこと覚えてないよってなりますよね。
「100%の確信」というものは、誰の記憶の中にも存在しません。
存在しないものを手に入れようとして確認を繰り返していることが、苦しさを生む原因になっています。
対処法
①安心しようとする行動をやめる
「記憶に自信がないから記憶に自信を持とうとする」という発想なりやすいのですがこれは逆効果です。
先ほど説明した通り、安心しようと確認を繰り返すほど、記憶はさらにぼやけて自信がなくなっていきます。
何度も確認をするという行動のほかにも以下のような行動は強迫症状を悪化させます。
・写真や動画をとる
・頭の中で記憶をたどろうとする
・頭の中で「鍵をかけたから大丈夫」と言い聞かせる
・「鍵かけたよね」と誰かに聞いたり、一緒に見てもらったりする
これらの行動は、安心があり一時的に確認を短縮する効果はありますが、効果が薄くなりさらに確認がひどくなる結果となります。
記憶がないと感じても、確認を繰り返したり、短期的に安心させたりする行動をやめることが大切です。
②記憶が曖昧なまま行動する
「記憶をはっきりさせてから動く」のではなく、「曖昧で不安なままで生活をする」ようにします。
例えば、鍵をかけた時は先ほど書いた安心しようとすることはやめます。
・何度も鍵を確認しない
・鍵をかけた感触や音を覚えようとしない
・鍵について動画や写真をとらない
・誰かに確認しようとしない
・頭の中で「さっき鍵を閉めたから大丈夫」と考えない
その上で、鍵をかけたかかけていないか、曖昧で不安を抱えたままその場を去るのです。
外出先でも記憶をたどるようなことはやめて、日常生活をそのまま続けます。
そうすることで「記憶がはっきりしなくても、実際には困った事態は起きない」「不安は永遠には続かない」という新しい経験を積み重ねていくことができます。
何度もこの経験をすることで次第に記憶が曖昧なことへの不安をそのままにしておけるようになっていきます。
まとめ
確認したはずの記憶がなくなるのは、記憶力の問題ではなく、強迫症による「記憶への自信のなさ」です。
最後に、この記事で解説した重要なポイントを振り返ります。
・記憶が曖昧になるのは、確認を繰り返すから
・安心しようとする行動を止める
・「記憶が曖昧なまま」生活を進める
「確認しなくても大丈夫だった」という経験を積み重ねることが、回復への近道です。
一人でやってもうまくいかないときは、一度ご相談ください。
