2024.07.15 | 強迫性障害全般
懺悔強迫の症状と克服方法を解説
こんにちは。鈴木です。
強迫症の一つに「懺悔(ざんげ)強迫」というものがあります。
例えば、自分が悪いことをしたことが思い浮かんだら、そのことを他人に話して大丈夫と言ってもらい安心するというものがあります。
悪いことを考える他にも実際やったことを思い出したり、行動したりして自分の考えや行動が許されるのかを他人に話してしまうことがやめられません。
他の強迫タイプ、特に加害強迫と結びついている人が多い印象です。
今回は、このような懺悔強迫の症状と対処法について説明します。
懺悔強迫の症状
懺悔強迫の代表的な症状のパターンをご紹介します。
・犯罪など悪いことをするイメージが思い浮かぶと「自分はそのような人間ではないか」と不安になり、思い浮かんだことを他人に話すのがやめられない
・過去に自分がしたちょっとした悪いことで大変なことになっているのではないかと不安で、関係あった人に謝ろうとしたり、家族に話すことがやめられない
・「どこまで悪いことを考えてよいのか」を他人に確認したり「どこまで悪いことをしてよいのか」と考え限界を試したりしたくなる。自分や他人にナイフをどれくらい近づけたら危険なのか、どれくらい高いところから飛び降りたら危険のかを試そうとし、それを他人に話して確認する
このように誰かに悪い考え、行動を告白して懺悔をして安心感を得ようとします。
不完全恐怖と結びつくときちんと完璧と思える懺悔をしないとやりおなし「完璧な懺悔」ができるまで、懺悔を繰り返すこともあります。
懺悔の内容がエスカレートし「どこまで悪いことを考えてよいのか」「どこまで危険な行動してよいのか」と思考や行動の許される範囲を確かめたり試したくなったりします。
懺悔強迫の基本的な対応
基本的な対応としてはこの4点。
・浮かんできた思考や行動について懺悔をしない
・危険なことをしてしまいたい衝動があっても行動に移さない
・強迫観念が浮かんでくる状況を回避しているのであれば直面する
・周囲に懺悔に応じないようにしてもらう
例
・「悪いことをしてしまうかも」「過去に悪いことをした」など強迫観念に対して他人に告白するという強迫行為をやめるようにする
・「どこまで包丁を人に近づけたら危険なのか」という強迫観念については他人に告白したり危険なことをやろうとする強迫行為をやめる
・強迫観念が起こりやすい状況を回避しているなら直面する。電車の中で「痴漢をしてしまうのでは」と不快な考えが浮かんで告白したくなることを防ぐために電車にのっていないのなら、乗って強迫観念が出てきても告白しない
・周囲にも懺悔にたいして「大丈夫だよ」と反応して安心させることは悪化のもとになることを理解してもらう。強迫症の人の中には「大丈夫と言わなくていいから、不安の内容を話したい」ということもあるのでそれにも応じないようにしてもらう。懺悔の相手が医師やカウンセラーになることがあるため注意する。
懺悔をしたり危険なことを試したりしたくなると思いますが、その衝動に振り回されず不安なことを抱えられるようになる心の筋トレだと思ってやってみてください。
懺悔をじぃーっとひたすら我慢するのではなく、他の行動をしてそちらに意識を向けるようにするとよいです。
他のことをしていてもなかなか集中できないかもしれませんが、何もしないよりはずっとマシです。
強迫観念への対処法についてはこちらも参考にしてください。
強迫観念にかられた時の対処法6選
「この不安で永遠に悩むのでないか」「不安をこのままにすることなんてできない」という考えが出てくるかもしれません。
しかし、それは強迫の罠。
実際は永遠に悩むことはありませんし、あなたには不安を抱えられる力は備わっているものです。
ただし「永遠に悩むことはない」というのは「二度と思い浮かばない」ということではありません。
考えが浮かんできても楽にそのままでいられるようになるということです。
この辺りの詳細はこちらの記事を参考にしてください。
強迫観念を「流す」「スルー」のコツ
まとめ
懺悔強迫も人によって内容や程度、どこが強迫行為になっているかは様々です。
不安なことを話すことが自体が強迫行為になっているとすれば、どこからどこまでが強迫なのかと悩むかもしれません。
出来るだけ認知行動療法の専門家のもとで自分に合った改善方法を相談するようにしてください。