2024.06.23 | 不完全恐怖
不安以外の強迫症状への対処法
こんにちは。鈴木です。
強迫症で不安以外のことから強迫行為をしてしまうタイプがあるのはご存じですか?
モノの位置が対称じゃないと気が済まない、スッキリするまで行動をやり直す、など「ピッタリ感」「すっきり感」「完璧にしたい」という欲求から強迫行為をする人がいます。
強迫症は不安症(不安障害)の一種でしたが、現在では不安症からは外れています。
今回は不安解消以外の強迫行為をする代表的な強迫症状と基本的な改善のための練習方法を説明します。
この記事の注意点
これから紹介する症状があったとしても不安でやっている場合は違います。
また、対処法については簡単に記載しており、人によっても違うため「こんなやり方もあるんだな」くらいで見てください。詳細については認知行動療法の専門家に相談しながらすすめてください。
整理整頓、対称性へのこだわり
・本を順番通りに並べる
・モノの位置を左右対称にする
・モノの位置が決まっていてそこから少しでもズレるとダメ
・ゴミが一つもないように完璧に掃除するため時間がかかる
対処法
・整理整頓にこだわるなら、あえてグチャグチャにする
・順番通りにしているなら順番を変え、対称にこだわるなら非対称にする
・掃除を完璧にしようとするならゴミがわざと残るような掃除をする
特定の回数、数字
・モノを特定の回数で触ることがやめられない
・特定の時間にメールを送信しないと気が済まない
・行動するときに数えないと気が済まない
対処法
・触りたくなる衝動に気づいたら別の行動をする
・特定の数字に関係なく行動をする
思い出し、覚えていないと気が済まない
・いつ、どこで、何をしたか思い出さないと動けない
・有名人の名前、車のナンバーなど気になったものは思い出さないと気が済まない
・日常生活での行動をしたことを思い出さないと気が済まない
対処法
・思い出せないモヤモヤした状態で行動する
・思い出せなくなるが嫌で見ないようにしているものがあればあえて見る。有名人の名前が思い出すのがつらいからテレビを見ていないならあえてテレビを見て思い出さないで行動する。
見えていないところが気になる
・道端などで見えていないところが気になり、のぞかないと気が済まない
・モノの裏が気になり見てしまう
対処法
・のぞきたい衝動があってもそのまま動く
・他人がいた方が我慢できそうなら、最初は協力してもらいながらのぞいたり見ないようにする。
検索が止まらない
・言葉の意味を完璧に知るため調べまくる
・疑念があると完璧に解消するまでネットで調べる
対処法
・言葉の意味がわからなくても検索をしない
・疑念があっても調べずそのまま行動をする
読み直す、動画を戻す
・読書や動画を見ている時にきちんと理解できないと嫌で読みなおしたり巻き戻したりする
・少しでも読み飛ばししたり、集中できないと感じると戻って確認する
対処法
・理解できていなまま読んだり動画を見たりする
・あえて読み飛ばしたり、動画をところどころ飛ばしたりする
ピッタリ感
・鍵をかけるときなど日常動作で自分にとって「ピッタリ」とする感覚が得られるまでやりなおす
・納得いく言い方で話す。相手にも思い通りの言い方で返答してもらう。100点の話し方じゃないと言いなおし
対処法
・ぴったりした感覚がないまま鍵をかけて外出する
・100点の話し方でなくてもそのまま話し続ける
強迫性緩慢
・着替え、歯磨き、手洗い、食事など日常生活の動作に時間がかかり行動が止まる。頭の中で納得いく行動がしたくて確認したり、計画・イメージをしたりする。
・順番通りできているか、これから起こるかもしれないことに対処できそうか、など。納得いかない・雑音があればやり直す。
・商品を買う時は後悔したくないためあらゆることを考慮しすぎて買うのに時間がかかる。
対処法
・自分が納得しないまま、不快・モヤモヤしたまま行動をする
・ルールがあれば変える。順番通りにしているものがあれば、順番を崩す。
・行動に意識を向けゆっくり動くことで、考えることではなく「今」に意識を向ける
・家族に協力してもらい、考え込みそうなら声をかけてもらう。次々に納得しないまま動く練習をする。家族が動作のモデルをしてその通りに動いてもらうのもよい。
注意点
症状にもよりますが、不安以外での強迫症状は一人でやってもうまくいかないことが多い印象です。
理由の一つは不安解消のためにやっている強迫は「バカバカしいし、強迫行為をやめたい」と思っているのですが、「ピッタリ感」「スッキリ感」を求める強迫は「自分がやりたいからやっている」と考えやすく、強迫行為を止めようとするモチベーションが低いと言われているのがあります。
また、対処法を知ったとしても「この対処法をきちんとできているか」と強迫的に考えやすく、それに気づけないことも多いです。
このため、出来るだけ認知行動療法の専門家に相談するようにしてください。