2026.07.19 | 強迫性障害全般
強迫症はセロトニン不足?よくある誤解3選
こんにちは。鈴木です。
「強迫症はセロトニンが足りないから起こる」
「強迫症の人は几帳面できれい好き」
これは、強迫症について広まっている誤解の一つです。
他にも誤解があり、この誤解を信じていると、「薬を飲んでいるのに治らないから、もう改善しない」「几帳面な性格だから変えられない」と考え、治療をあきらめる原因になります。
セロトニンを増やす食品やサプリメントなど、強迫症への効果が確認されていない方法を探し続けることにもつながります。
この記事では、強迫症についてよく信じられている3つの誤解と、それぞれがなぜ事実と異なるのかを解説します。
誤解が生まれた理由を知ることで、効果が確認されている治療を選びやすくなります。
誤解1.強迫症はセロトニン不足が原因
強迫症は、セロトニンが足りないために起こると証明された病気ではありません。
この説が広まった理由には、強迫症の治療に使われるSSRIという種類の薬があります。
SSRIには、脳の中でセロトニンを増やす働きがあります。そして、強迫症の症状を軽くする効果も確認されています。
そのため、
「セロトニンを増やす薬が効く」
↓
「強迫症はセロトニンが足りないために起こる」
と考えられるようになりました。
しかし、強迫症の人を対象に、セロトニンの材料になるトリプトファンを一時的に減らした研究では、トリプトファンが大きく減っても、強迫症の症状ははっきり増えませんでした。
当然ながらセロトニンの材料になる栄養を食事から取っても、強迫症が改善するという根拠もありません。
また、強迫症との関係が研究されているものは、セロトニンだけではありません。
ほかの脳内物質、遺伝、脳の働きなどもあります。
セロトニンが強迫症に関係している可能性はありますが、セロトニン不足だけで強迫症を説明することはできないのです。
誤解2.強迫症に人は几帳面・きれい好き
強迫症は、几帳面さやきれい好きが強くなった病気ではありません。
この誤解が広まった理由には、何度も手を洗う、長い時間をかけて掃除する、戸締まりを繰り返し確認するといった症状が、よく知られていることがあります。
不潔強迫がある人の家が、いつもきれいとは限りません。
床や掃除道具を汚いと感じ、掃除を始められない人がいます。物に触れるたびに手を洗うため、片づけが進まず、触れられない物が部屋に残ることもあります。
入浴では、洗う順番や回数が決まっていて、終わるまでに何時間もかかることがあります。その負担が大きくなり、入浴を避ける人もいます。
確認強迫がある人も、何でも細かく確認するとは限りません。
火事を強く恐れている人は、ガスの元栓を何度も確認しても忘れ物や提出物は確認しないことや、確認に時間を取られ、約束に遅れたり、ほかの作業でミスが増えたりする人もいます。
強迫症では、本人が恐れている汚れや失敗に関係するところだけに、手洗いや確認が集中します。
そのため、家が散らかったり、入浴を避けたり、確認していない部分でミスをしたりするのです。
誤解3.強迫症の人は頭がいい?
※このトピックは誤解を解く重要性がないかもしれなかったのですが、よく言われていることなので入れてみました。
「強迫症の人は頭がいい」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
もちろん、強迫症の人の中にも、頭のいい人はたくさんいます。
ただし、強迫症がある人ほど知能が高い、という結果は研究では確認されていません。
「強迫症の人は頭がいい」という考えは、100年以上前からありました。
しかし、当時は多くの人を調べて確かめたものではありませんでした。
その後、強迫症の人と、強迫症ではない人の知能を比べた98件の研究がまとめられています。
その結果、強迫症の人のIQは全体として平均の範囲。
強迫症ではない人と比べると、点数はわずかに低くなっていました。
この結果は、強迫症の人が知能が低いという結論ではありません。
確認や読み直しに時間がかかることや、問題を解く速さが、検査の点数に影響した可能性も考えられています。
実際に強迫症があると、問題の答えが分かっていても、「本当に合っているか」と何度も確認することがありませんか?
文章の意味を理解できていても、「読み間違えていないか」と気になり、同じ部分を繰り返し読む人もいますよね。
結果としてテストを最後まで解けなかったり、仕事でメールや書類の確認に時間がかかったりして学業や仕事に影響します。
強迫で勉強や仕事に影響が出ている人は、強迫を改善に一歩踏み出してみてください。
強迫症が改善すると勉強や仕事の成績が上がる人も多いです。
まとめ
ここまで、強迫症についてよく信じられている3つの誤解を見てきました。
・セロトニン不足が原因だと証明されていない
・几帳面さやきれい好きが強くなった病気ではない
・頭がいい人ほどなりやすいとは証明されていない
強迫症が起こる理由を、一つの原因だけで説明することはできません。
一方で、薬物療法や認知行動療法など、効果が確認されている治療があります。
原因について誤解したままでは、セロトニンを増やす食品を探したり、性格を変えようとしたりして、治療と関係のない方法に時間を使ってしまいます。
「何度も確認してしまう」「手洗いや入浴がやめられない」「読み直しに時間がかかる」など、強迫症かもしれない症状で困っている方は、カウンセリングでご相談ください。
現在の症状を整理し、認知行動療法の進め方をご提案します。
