2019.01.14 | 強迫性障害全般
【改善事例】認知行動療法で強迫が5ヵ月で改善しました!
こんにちは。鈴木(@komayamaco)です。
「人を殴ってけがをさせてしまう」と頭に浮かんできて悩んでいる強迫の改善事例を紹介します。
不安で人を避けることもありますが、今回はどちらかというと考え込んで悩んでいる事例です。
「自殺したらどうしよう」と別の不安も出てきて、「どうせ楽しいことをしても強迫があって楽しめないと」と楽しいことを避けるようになりました。
認知行動療法によるカウンセリングをやることで改善しています。
今回のカウンセリングで具体的にどんなことをやったのか、本人はカウンセリングでどうなったかをご紹介します。
本人インタビューでは
・カウンセリングで難しかったこと
・強迫が治るってどんな感じなのか
・強迫の人へのアドバイス
を載せています。
強迫の種類にかかわらず重要なことをお話していただきましたので参考にしてください。
カウンセリングを受ける前の状況
今回の事例は高橋さん(仮名)
高橋さんは結婚して子どもが生まれた時に「イライラして虐待したらどうしよう」と考えがよぎって不安になりました。
何もしなくても自然に考えなくなっています。
それから数ヵ月後「包丁を見たら人を殺してしまうのでは」と考えるようになりましたが、数ヵ月で自然に考えなくなりました。
しばらくして今度はきっかけもなく「イライラして人を殴ってしまう」という考え浮かび、頭から離れなくなります。
さらに「自分が自殺してしまったらどうしよう」「自分はうつ病なのかも」という不安も出てきました。
頭の中で不安な考えを否定する、考え込む時間が増え、人を避けるようになります。
以前は自然に治ったので様子をみていましたが、数年経っても不安な考えは消えません。
それどころか、どんどん不安が強くなってきました。
だんだん意欲が低下して、避けていなかった友人に会わなくなり、やっていたスポーツもやらなくなりました。
このため、医療機関を受診。強迫症と診断され薬が処方されました。
しばらく飲み続けましたが、意欲や不安は改善されませんでした。
このためカウンセリングを希望されました。
カウンセリングでやったこと
カウンセリングでやったことは主に以下の2点。
・「自殺してしまう」「この先楽しいことがなくて死んでしまう」「イライラして人を殴ってしまう」と不安に考え込んでいることについては、不安な考えよりさらに最悪なストーリーを作り、あえてそれを考えて不安感に慣れるトレーニングをする
※高橋さんはうつ病などにみられる「死んでしまいたい」という考えではなく「死んでしまうのでは?」という不安にとらわれていたためこのような対応をしました。
やり方を間違えると悪化するのため、ブログを見ている人は認知行動療法の専門家に相談しながらやってください。
・意欲がない、不安があってやらなくなっていることをやる。友達と会う、以前やっていたスポーツを再開してみるなど。これによって、意欲や不安の改善をする。
意欲がない時になぜあえて動くということをやるのか?と疑問に思った人はこちらの記事をご覧ください。
カウンセリングの経過
不安なことを考えるトレーニングは、始めて3日くらいは不安が残り怖かったようです。
それ以降は不安なことを考え続けていると次第に不安が収まることが経験できました。
友人と会うことも試してもらいました。
会うと楽しいという気持ちはありましが、強迫観念が出てきて「なんでこんな時にでてくるのか」と考えて自宅で落ち込んだ時もありました。
何回か続けているうちに強迫観念が出てきてもあまり気にせず友達と会えるようになります。
スポーツも再開。
やっている途中は強迫観念があまり気にならないので良かったようです。
波はあり、考えても大丈夫になった不安が再度怖くなったり、「不安を考えるトレーニングをしているが、本当に怖いことが起こったらどうしよう」と考えたこともありました。
それでも毎日のようにトレーニングを続けていった結果、不安にとらわれることはほとんどなくなり元気に過ごせるようになりました。
カウンセリングは5ヵ月間、計9回実施しました。
本人インタビュー
―どうしてカウンセリングをうけようと思ったのですか?
薬に頼りたくなかったのと、ブログ見てこの人なら治してくれそうだとおもったんですよ。
―認知行動療法を始めて苦労した点や難しかったところは?
自分がそうなってしまうかもしれない(人を殴る、死んでしまう)イメージを考える練習がつらかったですね。
最初はやってて怖いイメージにも慣れてきてよかったのですが、今度はまた違う怖いイメージが次々に浮かんでくるし「これって意味があるのか?」「本当によくなるのか?」って疑ったこともありました(笑)
続けなければと思って続けましたけど。
一ヶ月くらいつらいときはありました。
―それでも頑張り通せたのはどうしてだと思いますか?
治したい一心でしたね。
もう30代だし、まだまだ家族のためにもがんばっていきたいし、自分の好きなことを楽してみたいって。
あと、強迫が治る人ってここでがんばっている人と差が出るんだろうなって。
少しずつ「先生の言っていることウソじゃないんだ」と思うようになりました(笑)
―その後はどんな感じでしたか?
不安なことが出てくるから、いろんなことが面倒になっていました。
人とも会いたくなかったです。
友達と会っても強迫の考えがでてきたので。
先生にアドバイスされて友達と会ったじゃないですか。
会ったら楽しかったんですけど、強迫のこと考えて疲れてました。
「なんで楽しい時に強迫が出てくるのか」と思いました。
それでも外出とか前にやっていたこととか、やってみたらだんだん楽しめるようになってきたんですよ。
悩んでいても普通の生活するのが大事なんだなぁって思いました。
2か月くらいたってから怖いことを考えても大丈夫となってきました。
一回悪くなったこともあったのですが、5回目のカウンセリングくらいから良くなってきた実感があります。
最近はお客さんから「前は疲れた顔したけど元気になったね」って言われるようになりました。
そんなひどい顔してたんですね。
―よく強迫の人から「強迫が治るってどんな感じなの?」と質問されるのですがどうですか?
自分もカウンセリングを始める前、それ気になってました。
実は「良くなったー」って感じはないです
「これがふつうーなんだなぁ」って感じです。
将来の不安について考えることはあるけれど、それが考えても流せるようになりました。
先生の言ってた「認知行動療法は筋トレ」という言葉はぴったりだと思いました。
―認知行動療法に取り組んでよかったところはなんですか?
強迫がでる前の出る生活にもどっているところですね。
嫌なことが起こっても気にせずにいられます。
前は「強迫観念が残っていたら絶対やだ」って思ってたけど、考えが残っていたら嫌だという感じはなくてなってましたね。
先生のブログにも書いてはいましたけど、ブログを見ただけだと実感できないですよね(笑)
実際にやってみてわかりました。
―強迫で悩んでいるけれど、不安でなかなか治療に踏み出せない人にアドバイスを何かお願いします
「あきらめずに」っていうのもプレッシャーになりまよね・・・
でも「がんばって」と言うしかないです。
一歩踏み出してほしいですね。
薬止めたいと思っている人や治したいと思っている人は行動療法してほしいと思う。
途中であきらめてしまう人も多いと思いますが、筋トレだと思ってがんばってほしいです。
治るか治らないかは、自分がやるかやらないかどうかと思います。
右肩上がりによくならなくてもコツコツやることが大事
いかがでしたか?
高橋さんはカウンセリングで話し合った課題について「毎日練習します!」と宣言して、実際にやっていたようです。
トータルで5ヵ月間カウンセリングをしましたが、カウンセリング開始から2~3ヶ月後には日常生活に支障がない程度までにはなっていました。
やはりコツコツ筋トレのように不安に思っていることに挑戦することが大事です。
普通の筋トレと同じく、強迫への挑戦をコツコツやることってなかなか難しいです。
右肩上がりによくならないと「他に良い方法はないか?」と、練習をやめる理由を考えたくなります。
高橋さんのコメントでもあったように、壁にぶつかった時にがんばって続けられるかどうかが改善する人とそうでない人の分かれ道にもなりやすいでしょう。
「○○と考えたら治る」「○○を食べたら治る」「自律神経整えたら治る」とか、魔法の方法はありません。
カウンセラーはやり方をアドバイスできますが、カウンセラーが治してくれるわけでもありません。
高橋さんが話していた「治るか治らないかは自分がやるかやらないか」という言葉の通りです。
「それができたら苦労はない」ということを挑戦するので、強迫を改善するのは簡単ではありませんが、あきらめずの一歩治療に踏み出していくことをおススメします。