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なぜ強迫症の治療は「耐える」「我慢」ではマズイのか?理由と効果的な対策とは?

こんにちは。鈴木です。

 

強迫症の治療のイメージというと強迫観念に耐え、強迫行為を我慢するというイメージはないでしょうか?

おそらく強迫症に有効な手段である曝露反応妨害のイメージがそうなのではないでしょうか?

 

ひたすら耐えて我慢して強迫症を改善しました!って人もいると思いますが、多くの人はそれではあまりうまくいかいのではと思います。

 

今回は強迫症の治療、特に曝露反応妨害が耐える・我慢では改善しにくい理由と、どのように考えていけば改善しやすいのか?について解説します。

 

この記事を読むことで耐える・我慢だけではない新しい視点を得られ、強迫症の改善に向かうヒントになるでしょう。

 


 

耐える・我慢では改善しにくい理由

 

大きく3つの理由があります。

 

1.単につらいだけでチャレンジできなくなる

「我慢」や「耐える」という言葉からは嫌なことをひたすら耐え忍び、時間が経ち不安が下がるのを待つといったイメージになりませんか?

 

例えば、不潔恐怖(不潔強迫)のある人が手を洗いたくなったときに、ひたすら手洗いを我慢し続ける場面を考えてみましょう。

その間、頭の中では「気持ち悪い」「苦しい」「早く楽になりたい」と考え続けてしまいます。

このように「耐えたけれど、ただつらかっただけ」となってしまうと「もうあんなことはしたくない」と思うようになり、次のチャレンジが難しくなります。

 

本来であれば、苦手なものにあえて挑戦し、少しずつ克服していくことが大切です。

しかし、「チャレンジ=苦痛」となってしまうと、そもそもチャレンジすることが難しくなってしまいます。

 

 

 

2.強迫行為をしてしまう

 

強迫行為を我慢するだけになってしまうと、我慢するために安心させようとすることがあります。

例えば手洗いを我慢している時に

・「何も不安なことは起こらないから大丈夫」と繰り返し唱える

・「この後手洗いするから大丈夫」と安心させようとする

 

こうした行動は、一見すると我慢して「強迫行為をしていない」ように見えますが、実は「不安を減らすための強迫行為」になってしまっている可能性があるのです。

つまり「強迫行為をしないために、別の強迫行為をしてしまう」ということが生じます。

強迫症を改善するためには、不安があっても「ノーガード」でいることが重要です。

強迫行為を我慢するために別の強迫行為をしてしまうと、根本的な改善にはつながりません。

 

 

3.「不安を無くそう」と考えてしまう

「強迫行為を我慢していれば、いつか不安はなくなる」と考えていませんか?

確かに強迫行為をしなければ、不安は時間とともに減少していきます。

ただし、それは「今後一切、不安を感じなくなる」という意味ではありません。


「不安をなくそう」とすると、「不安を感じることは悪いことだ」という考えが強まってしまいます。

しかし、不安を抱くこと自体は悪いことではなく、むしろ生きる上で必要な感情の一つです。

また「不安をなくすために曝露をしよう」と考えると、曝露が「不安を避けるための手段」になってしまいます。

そうなると曝露そのものが強迫行為のようになり、結果的に不安にとらわれ続けることになってしまいます。

 

 

 

曝露反応妨害をどう考えればよいのか?

 

では、曝露反応妨害をどう考えればよいのでしょうか?

オススメの考え方をご紹介します。

 

1.新しい学習と考える

曝露反応妨害を新しい考え方や振る舞いを学習する機会だと考えましょう。

 

例えば

・「ドアノブを触ったら病気になる」と考えているならばドアノブに触りそのままでいても病気にはならない、ということを学ぶ

・何か病気になっても普通に治療すれば治るため、最悪のことにはなりにくいことを学ぶ

・「強迫行為をしなかったら永遠に不安のままなのでは?」と考えるなら本当にそのままなのかを実験して、そうならないことを学ぶ

・不安だと何もできないと考えているなら、不安なまま動いて、実際は不安があってもいろんなことができることを学ぶ

 

このように考えること曝露反応妨害は「考えていることが本当なのか実験してみよう」というものになります。

 

また「不安があること=ダメ」と捉えがちな人は「不安は新しい学習をするための良い機会」と考えるようにするとよいでしょう。

不安が強いほど「本当に悪いことが起こらないんだ!」と気づくチャンスになり、考え方が変わりやすくなります。

不安があればあるほど新しい学習ができ、不安が強ければ強いほど成長していくというイメージ。

不安をウェルカムの状態にすることで、不安を受け入れやすくなります。

 

単に我慢して耐えているだけでは、この視点はなかなか得られません。

このためもしもあなたが我慢しているだけになっているとするなら「強迫行為をしないでいることでいったい何を学習しようとしているのか」と事前に考えるようにしましょう。

 

 

2.「嫌なことをする」のではなく「やりたいことをするためにやる」と考える

 

曝露反応妨害というと「嫌なことをして我慢する」というイメージを持ちがちですが、そう考えるとモチベーションが上がりません。

不安を減らしたい、安心したいという短期的に得られることを優先したくなります。

 

そこで「不安があっても、自分の大切にしたいことをやる」と長期的な視点で考えてみましょう。

例えば不潔強迫が原因で外のトイレが使えず、旅行を諦めていたとします。

この場合、外のトイレを使うのを受け入れ旅行に行くことは「不安があっても旅行で新しい経験をする、家族との時間を増やす、リフレッシュをする、など自分が大切にしたいことを優先する」ことになります。

「嫌なことを我慢する」ではなく「不安があっても自分が大切にしたい行動をできるようになる」と考えれば、何のために不安と向き合うかが明確になり、チャレンジのモチベーションが上がりやすくなります。

旅行に行く前のトイレに行く練習も「自分が大切にしたいことが出来るようになるための練習」となります。

 

・あなたが強迫症がなかったらどんなことがしたいですか?

・あたなが大切にしたいものはなんですか?(家族、勉強、娯楽など)


ぜひ、それを考えながら少しずつ前に進んでみてください。

 



まとめ

 

専門家の中でも批判はあるものの、個人的には強迫症の曝露反応妨害を耐えて我慢してその結果不安に慣れていくと考えることが必ずしもダメだとは思わないです。

理論的にはマズイかもしれないのですが、結果的にそれでよくなっている人もいると感じるので。

 

しかし、その考えでは強迫行為につながり改善されなかったり、曝露反応妨害へのイメージが悪すぎてチャレンジしにくかったりということもあります。

その場合は、新しい学習をする、自分の大切にしたいことをする、という今回紹介した考え方を参考にしてみてください。

 

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